空き巣ってどんな人がやってるの？

泥棒って仕事は苦労がいっぱい

「日本一の空き巣」を自称するキャリア３０年以上のベテラン空き巣常習犯（６１歳）が逮捕された。

同容疑者の手口は、夕方、留守宅の人目につきにくい高窓をドライバーで破って侵入し
現金や商品券などを物色するもの。
「庭の手入れが行き届いている家は、奥さんがしっかりしているので現金もある」との理由から
東京・田園調布や成城をはじめ高級住宅街の庭の整った家ばかりを狙っていた。

長年の泥棒生活で培った警戒心はひじように強く、現場に残す足跡が証拠にならないよう
靴は２週間も履けば買い替えていた。
また、週２日は、休日を設け、６０歳を超えてからもジョギングを日課とするなど
空き巣狙いを続けるための体力作りに余念がなかった。

この道３０年というだけあって、いかにも「プロフェッショナル」という犯人像が伝わってきます。
文字通り「足がつかないように」靴を二週間ごとに履き替えるなど、きわめて巧妙で仕事熱心です。

リフレッシュのための休日をもうけて体力維持のためにジョギングを日課としていたというのですから
自己管理能力も高い。ほかの職業でも成功したのではないかと言いたくなりますが
「１年３ヵ月余りでサラリーマンの平均年収の約６倍を盗んだ」というほどの高収入ですから
堅気の商売になんて魅力を感じなかったのかもしれません。

しかしながら、盗んだお金はギャンブルなどで使い果たし、逮捕されたときの全財産は
わずか２０万円だったといいます。
几帳面である一方、「宵越しの金は持たず」の豪快で無計画な一面もあったようです。

じつは、こういうタイプの空き巣常習犯はけっこう多いのです。
犯行時の緊張から解き放たれて、とにかくリラックスしたいという気持ちが働くようで
盗んだらパーツと使い果たしては、また盗みを働くというパターンにおちいります。

空き巣稼業は、割に合わないところも多いようです。大ケガをするなどの危険性も高い。
いつ家人が帰ってくるか、誰かに見られていないかと、ハラハラドキドキしながらの作業は
心臓にも大きな負担かもしれません。

また、空き巣は、いかにもプロフェッショナルといった感じの職人的なタイプばかりとはかぎりません。

最近の不況の影響か、サラリーマン型の空き巣も増えています。
リストラされて行き場を失った元会社員が、ゴツゴツと空き巣を繰り返し
それを毎月の給料と称して家に持ち帰っていたという事件も起きています。

大阪府堺市で逮捕された空き巣犯（４４歳）も、ゴツゴツ稼ぐ。サラリーマン型でした。
信用金庫に勤めていましたがリストラにあい、その後、職を転々。
家族にはその事実を告げず、皿洗いのバイトをしていましたが、月々五万円ほどしかならず
消費者金融からの借金があったこともあり、「空き巣」稼業に踏みきったといいます。

その被害件数は約５０件、被害総額は１３００万円ほどにものぼりますが
これだけ稼いで、結局借金が返せたのかどうかは、新聞記事からはわかりません。
　

この元サラリーマンの空き巣は、犯行日を
スポーツ新聞の運勢欄で「ラッキー」と出た日に決めていました。

逮捕された当日は、ちょうど運勢欄のチェックを怠った日だったというのは、
ちょっとできすぎた話のような気もしますが、事実のようです。